不登校になった弟と通信制高校の話

弟が通信制の高校を卒業しました。小さな頃からずば抜けて頭が良く、中学時代には常に学年で1番の成績でした。公立中でしたけれど1学年に400人ほどいてずっと1番だったのでいずれは東大か京大を狙えるだろうと担任の先生に言われていたと思います。

 

その弟が家の経済的事情で国立の高等専門学校に入学しました。高校から大学に行くより進学が楽ですし、なによりも家の近所にあったからです。家から自転車で直ぐのところにあるのでどの高校に通うよりも楽でした。授業料が安いのも大きなメリットでした。それと仮に大学に進学しなくても世間的な評価は高いですからとりあえず卒業さへできればと親は考えていたようです。

 

ところが高専に入学すると学校に通わなくなりました。最初は普通に朝から夕方まで学校に通っていましたが6月頃になると休むことが多くなり、夏休み明けには全く学校に行きたがらなくなりました。理由は学校がつまらないこと、そして勉強をすることが精神的に疲れたということでした。別にいじめられたとか体罰があったということではありませんでした。それで1年目で必修科目を落として留年し、2年目はもう完全に学校に通わないので親も諦めたのか退学することになりました。弟は勉強をするでもなく、ただただ家にいて犬の散歩をしたりテレビゲームをしたり、母の家事を手伝ったりすることがメインの生活を送っていました。

 

その後4年程が経過したときに突然、通信制の高校で学びたいと言い出しました。このままでは中卒になってしまうことから危機感を持ったみたいで、親も直ぐにOKを出し、私立の通信高校に入学しました。それからは授業料等を払うためにペットショップでアルバイトをしながら家で毎晩コツコツ勉強していたと思います。月に数回の登校日にはきちんと出席していましたし、イベントがあればいつも心待ちにして参加していました。試験はさすがに満点とは言いませんがいつも良い点数を取っていたみたいで、すんなり3年で卒業していました。それから何を思ったか大学に入りたいと言い始め、アルバイトをやめて1年間独学で勉強し直し、翌年には地元の旧帝国大学の工学部に合格しました。弟は元々頭が良かったですし真面目な性格なのでたぶん合格するだろうなと思っていましたが、それでも内心ではすごいなと思ったものです。

 

途中でドロップアウトをしたとしても通信制の高校でコツコツ頑張れば軌道修正できますし、また世の中には色んな人がいるということを登校日等に垣間見ることができて大変良い社会勉強になったのではないかなと思いました。大学は院まで行き、その後は公務員試験を受けて政令指定都市(地方上級)に入ったことを考えると家族としては結果オーライなのかなという感じです。尚、弟いわく通信高校は面白かったそうです。先生も仲間も優しくて、それが勉強の励みになったと言っていました。無事に軌道修正できたことは、全て弟の努力で成し遂げたのでは無く、そこに良い出会いがあったことが大きく影響していると考えています。